240: 名無しの心子知らず 2007/01/16(火) 19:41:08 ID:YNipPGwj
俺には5つ上の姉がいた。

姉は先天性の障害があり、右半身の手足が多少不自由だった。
幼いころから姉と俺はあまり仲が良くはなく、いつも喧嘩ばかりしていた。



就職して3年程経った頃、俺は当時付き合っていた彼女と結婚することになったが、姉には結婚の話もなくその時もまだ実家に住んでいた。

長男であることもあり、結婚後は実家で両親と同居するつもりでいたが、姉の件もあって家族で揉めることが多くなり、姉との仲はますます気まずくなっていった。

また、いままで姉の障害のことは自分の周囲に話さなかったこともあり、友人や同僚に知られるのが嫌で、正直、姉を結婚式に招待したくはなかった。 

ひどく空気が澄んだ秋晴れの日、それは結婚式まで後5日に迫った日だったが、客先での打ち合わせ中に、突然母親から携帯に連絡があった。

それは姉が事故に遭って亡くなったという知らせだった。 

姉は車椅子で近くの銀行へ行った帰りにダンプカーに巻き込まれたらしく、ほぼ即死だったと聞かされた。 

あくる日、俺は両親と警察署へ姉の遺品を受け取りに行った。受け取ったバッグの中に封書があり、1万円札が10枚と1枚の便箋が中に入っていた。 

その便箋には、 

「○○へ。 結婚おめでとう。できの悪い姉でいろいろと迷惑かけたけど、姉ちゃんにはこれが精一杯のお祝い。」というような内容が書かれていた。

我に返った俺の目からは、今まで流したことのない大粒の涙がぽろぽろと零れていつまでも止まらなかった。 





参照元 こんな自分でも産んでくれたカーチャンに感謝